七月 13, 2023

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照明、センサ、通信の技術は自律走行ロボット(AMR)を実現する重要な技術であり、それによってAMRは実世界を見たり、検知したり、情報をやり取りしたりすることができます。本ブログでは、これらのサブコンポーネントを設計する上で重要な考慮事項について検討し、各アプリケーションに適したオンセミ(onsemi)のソリューションを紹介します。


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 1: 自律走行ロボットのコンセプト

 

 

環境のセンシング

AMRは、周囲の状況を監視し、情報のやり取りをする必要があります。これには、温度センサ、イメージセンサ、LiDAR (3Dマッピング用)、回転位置センサ、可視光通信(VLC)センサなど、さまざまな種類のセンサを使用する必要があります。

イメージセンサとイメージシグナルプロセッサは、AMRに視覚を与え、環境をナビゲートして物体の検知と認識を行います。このアプリケーション向けに、オンセミは、グローバルシャッタとローリングシャッタイメージセンサの選択肢を提供しています。イメージセンサAR0234CSは、動いているシーンを120フレーム/秒、フル解像度で正確かつ高速にキャプチャするように最適化された新しい革新的なグローバルシャッタピクセル設計を取り入れています。このセンサは、暗いシーンでも明るいシーンでも、鮮明でノイズの少ない画像を生成します。

 


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2: オンセミのAMR用センシングソリューション

 

位置センサは、AMRの車輪やその他の可動部品の回転を測定することにより、AMRの3次元の位置と方向を正確に追跡できます。オンセミNCS32100は、精度と速度を兼ね備えた産業用回転位置センサです。このセンサは、38 mmのセンサを搭載し、6,000 RPMで+/-50秒角の精度を実現します。低精度のアプリケーションの場合は、100,000 RPMまでの速度に対応できます。この新しいデバイスは、誘導型位置センシングに特許取得済みアプローチを採用しており、産業用アプリケーションやロボットアプリケーションに最適です。

超音波センサと赤外線センサは離れた物体までの距離を測定し、AMRが障害物を検知し衝突を回避できるようにします。

 

道を照らす

発光ダイオード(LED)などの照明技術により、AMRは過酷な環境でもナビゲート、通信、動作を行うことができます。また、信号を送信したり、ロボットの状況や方向を通知したりすることもできます。AMR用の照明技術を選択する際に考慮すべき性能特性およびパラメータには、輝度、色温度、消費電力などがあります。LEDコントローラとドライバは、LEDを流れる電流を監視し、LEDが特定の強度と波長の光を発光できるようにするコンポーネントです。LEDドライバ回路は、ハイサイドおよびローサイドパワーMOSFETを使用して、LED電流のオン/オフを行い、LEDドライバ回路の安定性を確保しながら、過電圧および過電流状態から保護します。オンセミのLEDリニア電流ドライバNVC7685NCL31000は、AMRの照明アプリケーションに最適なインテリジェントLEDドライバです。NVC7685は、12個のリニアプログラマブル定電流源と共通リファレンスを搭載し、128の異なるPWMで調整可能なデューティサイクルレベルを実現しています。NCL31000は、広帯域幅アナログおよびPWMによる調光(ゼロ電流まで)をサポートする高効率の3アンペア降圧LEDドライバ、2つの補助DC-DCコンバータ、入出力電流と電圧、LED温度、DC-DC電圧を監視する診断機能を備えています。


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3: オンセミAMR用照明ソリューション

 

NCL31000は、最大10 kb/sの単方向データを送信するためのキャリアとして可視光を使用するVLCをサポートしています。AMRは、VLCにより他の機器や人間とのセキュアな通信を行うことができます。可視光のスペクトルは430 THz~790 THzであるため、VLCはBluetooth® Low Energy (Bluetooth LE)、Zigbee、超広帯域無線(UWB)、Wi-Fiなどの近傍のワイヤレス技術に影響を与えることはありません。VLCは、本質的に見通し線に制限されるためセキュアです。ウェアハウスアプリケーションでのAMRのナビゲーションには、UWB、Bluetooth LE (AoA/AoD)、Wi-Fiによる屋内測位システム(IPS)が有効です。しかし、無線周波数(RF)の輻輳や干渉が、IPSに悪影響を及ぼす可能性があります。これを軽減するために、VLCを使用し、VLCを天井照明器具のグリッドに導入することで、既存のRF IPSを補完できます。この場合、各天井照明器具は固有のID番号を送信します。AMRが各照明の位置と固有IDを含むフロアプランのデータベースを備えていれば、以下の図4に示すように、AMRは天井に向けた単純なフォトダイオードで自己ナビゲートできます。

 


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4: AMRによる屋内測位システム(IPS)へのVLCの利用

 

実世界との通信

通信技術により、AMRは他の機器やシステムとの間で、データの送信およびコマンドの受信を行うことができます。AMR用の通信技術を選択する際に考慮すべきパラメータには、動作範囲、データレート、消費電力、セキュリティなどがあります。周囲環境内にある他の機器やシステムと許容可能な速度で通信するために、動作範囲は十分広く(長く)なければなりません。トランシーバの消費電力は、バッテリ寿命を延ばすために可能な限り低くする必要があります。同時に、AMRのデータやコマンドの破損を防ぐためにセキュリティが非常に重要です。

 

Bluetooth LEのワイヤレス通信技術は、低消費電力向けに設計されており、バッテリ駆動機器に最適です。このプロトコルは、AMRと他の機器との間でセンサのデータや制御信号を送信するための幅広いデータ転送レートをサポートしています。また、Bluetooth LEは屋内測位システムでも使用でき、AMRの動的環境のナビゲートが可能になります。オンセミRSL15は、Bluetooth LEワイヤレスアプリケーションを簡単に実装できるBluetooth 5.2認証取得済みトランシーバで、AoA (受信角度)とAoD (放射角度)の主要機能をサポートし、高精度の屋内測位が可能です。高度に統合された無線システムオンチップ(SoC)により、システムのサイズとバッテリ寿命が最適化されています。ARM Cortex-M33プロセッサと2.4 GHzトランシーバを搭載しており、Bluetooth LE 5.2と2.4 GHzのカスタムプロトコルをサポートしています。

 


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図 5: AMRにおけるオンセミの通信ソリューション

 

産業用イーサネット通信プロトコルは、複数のAMRをリアルタイムに制御、調整するのに必要となる高速通信機能を提供します。オンセミの10BASE-T1S産業用イーサネットトランシーバNCN26010により、既存のツイストペア線を使用した産業用アプリケーション向けのマルチドロップイーサネット通信が可能になります。このデバイスは、IEEE 802.3cgに準拠し、メディアアクセスコントローラ(MAC)、PLCA調整サブレイヤ(RS)、産業用マルチドロップイーサネット向けに設計された10BASE-T1S PHYを備えています。1本の非シールドツイストペア線を介してデータを送受信するためのすべての物理層機能を提供し、Open Alliance MACPHY SPIプロトコルを使用してホストMCUと通信できます。

AMR用コンポーネントの選択ガイド

AMRの全体的な目的は、実世界と積極的に情報をやり取りすることです。オンセミは、これを可能にする最適な照明、センシング、接続のソリューションを設計者が選択するサポートができます。AMR内の電源およびモータ制御ソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。